
病院でオンシオールっていうお薬を処方されたけれども、
- オンシオールの効果は?
 - 副作用は何があるの?
 - 飲ませるタイミングはいつ?
 - 飲ませ忘れてしまったらどうする!?
 

そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!
オンシオールってなんのお薬? 概要説明
オンシオールは犬さんや猫さんの痛み止めや、炎症止めに使われるお薬です。
特に急に発生した骨や関節等の痛みによく使われます。


オンシオールの中には、ロベナコキシブという有効成分が含まれており、この成分が痛みや炎症を引き起こす物質の働きを抑えます。
ロベナコキシブは非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs: エヌセイズ) と呼ばれるお薬に分類され、人の薬でいうロキソニンやカロナールと同じジャンルに分類されます。
注意ポイント
ロキソニンやカロナールなどの人の痛み止めは犬さんや猫さんに絶対に使ってはいけません。
ロキソニンやカロナールは犬さんや猫さんでは安全性が低く、命に関わる重い副作用が出る可能性があります。

人の痛み止めを飲んで命を落とす猫さんが定期的に救急病院にやってきます、、、
一方でオンシオールは動物用に安全性の確認されており、安心して使うことができる痛み止めのお薬なのです。
オンシオールの飲ませ方
指定された量を1日1回、食事と食事の間の空腹時に飲ませます。少なくとも食事の前後30分は避けるようにしましょう。
食事と一緒に内服してしまうと、効果が弱くなるおそれがあります。

一口くらいのご飯やおやつと混ぜて与えるのはOKですよ。
オンシオールを飲ませ忘れたとき

オンシオールを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。
しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。
忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。
オンシオールの副作用、飲むときに気をつけるべきこと
オンシオールの副作用

オンシオールは他の痛み止めのお薬と比較して副作用は少なめです。ただし次のものが報告されています。
オンシオールの副作用
- おう吐、下痢、食欲不振
 - 胃腸の障害 
→ 元気や食欲の低下、おう吐や吐血 - 腎臓の障害 
→ 血液検査での腎数値の上昇、元気や食欲の低下 - 肝数値の上昇 
→血液検査で肝数値が上昇 - 心臓の疾患や高血圧の悪化 
→ 呼吸状態の悪化等 
おう吐や下痢、食欲不振などの消化器症状として現れることが多いです。こういった症状が現れたら獣医師に相談してください。
薬の添付文書では、猫さんへの使用は基本的に6日間までと定められています。
最近では、健康な猫さんなら長期的に使用しても大丈夫という報告も出ています (参考文献5)。
しかし副作用が現れる可能性はあるため、長期使用をする際は血液検査などの定期的な健康診断を行うようにしましょう。

猫さんでの長期的な利用はあくまで例外的な使い方です
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる猫さん猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
注意が必要な場合
- 妊娠、授乳中のとき
 - 体重が2.5kg未満のとき
 - 生後4ヶ月未満(犬)または生後3ヶ月未満(猫)のとき
 - 消化器症状 (特に胃潰瘍など) があるとき
 - 腎機能障害があるとき、脱水をしている時
 - 肝機能障害があるとき
 - 心疾患や、貧血、出血傾向、低血圧等の症状があるとき
 - 豚肉にアレルギーがあるとき
 
- 妊娠、授乳中のとき
 - 体重が2.5kg未満のとき
 - 生後4ヶ月未満(犬)または生後3ヶ月未満(猫)のとき
 
これらに該当するときは安全性が確認されていません。
薬の使用は避けたほうが無難です。
- 消化器症状 (特に胃潰瘍など) があるとき
 - 腎機能障害があるとき、脱水をしている時
 - 肝機能障害があるとき
 - 心疾患や、貧血、出血傾向、低血圧等の症状があるとき
 
もともとあるこれらの症状を悪化させてしまう可能性があります。
- 豚肉にアレルギーがあるとき
 
材料に豚由来の成分が含まれているため、アレルギー症状が出てしまう可能性があります。
飲み合わせ
次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう。
副作用が発生するリスクが高まるため、原則併用してはいけません。
これらのお薬を使っていたときは少なくとも1日は間を開けるようにしましょう。

炎症とめのお薬は1種類のみ使用が原則!
体の中での薬の効き方に影響を及ぼす可能性があります。
併用するときは、副作用が出ないか、薬の効きが弱くならないか等に注意が必要です。
オンシオールの効果、医薬品としての承認
犬さんの効果
オンシオールは犬さんの動物用医薬品として次の効果に承認が取られています。
犬さんでの承認
- 慢性の骨関節疾患に伴う疼痛及び炎症の緩和
 
関節疾患以外にも、癌の痛みの緩和、手術後や外傷からくる痛みの緩和など、様々な疼痛や炎症の緩和に使われるお薬です(参考文献2,3,4)。
猫さんの効果
オンシオールは猫さんの動物用医薬品として次の効果に承認が取られています。
猫さんでの承認
- 運動器疾患に伴う急性の疼痛及び炎症の緩和
 
猫さんでも、関節疾患以外に、癌の痛みの緩和、手術後や外傷からくる痛みの緩和など、様々な疼痛や炎症の緩和に使われます(参考文献2,3,4)。
オンシオールの作用機序
痛みや炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで、鎮痛、抗炎症効果を発揮します。
プロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という合成酵素から作られ、全身の痛みや炎症を強くする効果を持っています。
ロベナコキシブはこのCOXの働きを抑えることで、プロスタグランジンの産生を抑制し、痛みや炎症を抑制します。
まとめ
以上、オンシオールに対する説明でした。
オンシオールは猫さんの痛み止めに使われるお薬のうちのNSAIDsに分類されるお薬です。
獣医療の痛みの管理において、NSAIDsは中心的な使われ方をしているお薬です。その中でもオンシオールは副作用が比較的少なくなるように作られており、幅広い場面で処方されているお薬です。
- オンシオールは痛み止めのお薬
 - 1日1回空腹時に飲ませる
 - 副作用は少ないが、消化器症状、腎臓、肝臓に注意
 
まとめ
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
 - 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
 - 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
 - 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
 
参考文献
- オンシオール添付文書、エランコジャパン株式会社
 - 図版で理解する 犬と猫の麻酔・疼痛管理ハンドブック、EDUWARD Press、2018年
 - Gruen ME, Lascelles BDX, Colleran E, et al. 2022 AAHA Pain Management Guidelines for Dogs and Cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2022;58(2):55-76. doi:10.5326/JAAHA-MS-7292
 - Mathews K, Kronen PW, Lascelles D, et al. Guidelines for recognition, assessment and treatment of pain: WSAVA Global Pain Council members and co-authors of this document:. J Small Anim Pract. 2014;55(6):E10-E68. doi:10.1111/jsap.12200
 - King JN, Seewald W, Forster S, Friton G, Adrian DE, Lascelles BDX. Clinical safety of robenacoxib in cats with chronic musculoskeletal disease. J Vet Intern Med. 2021;35(5):2384-2394. doi:10.1111/jvim.16148
 
各2023年1月25日取得
 