犬と猫のお薬解説 神経系のお薬

【獣医執筆】フェノバルビタールの効果や副作用、飲ませ忘れ時の対処法について解説します!

2023年3月21日 なんたべ

病院でフェノバルビタールやフェノバールっていうお薬を処方されたけれども、

  • このお薬の効果は?
  • 飲ませるタイミングはいつ?
  • 飲ませ忘れてしまったらどうする?
  • 副作用は何があるの?

そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!

獣医なんたべ

このページで解説するお薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。

解説するお薬の一覧

  • フェノバルビタール
  • フェノバール

この記事を読むことでより安心して、安全にお薬を使うことができるようになります!

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ここだけ見れば大丈夫!フェノバルビタールまとめ

成分名フェノバルビタール
商品名フェノバール (人体用医薬品)、その他ジェネリック製品
特徴、はたらきてんかん発作の抑制
唾液腺の腫れ (犬のみ)
使う動物犬、猫
副作用ふらつき、元気消失、肝障害、血球減少等
注意事項使用する上では定期的な健康診断が必須です。
また、併用に注意が必要なおくすりが有るため、事前に確認しましょう。
特に他のお薬の効果を弱めてしまうことがあります。

ここから先はフェノバルビタールについて更に詳しく説明していきますよ!

特に副作用や使用上の注意は絶対に知っておいてほしいです!

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フェノバルビタールの特徴

フェノバルビタールは主に犬さんと猫さんのてんかん発作のコントロールのために使われるお薬です。

てんかん発作の原因は脳の神経細胞の異常な興奮と言われています。

フェノバルビタールは、脳の神経系の興奮を抑える効果を持っており、それにより発作のコントロールをしてくれます。

フェノバルビタールは薬の有効成分を指しており、フェノバールという製品名で販売されています。

また、それ以外にも人体用のジェネリック医薬品が処方されることもあります。

フェノバルビタールとフェノバール、名前がめちゃくちゃ似ていますが、成分と商品名で違うものを表しているんですね

これらは日本では人用の医薬品として販売されており、動物用医薬品として販売されていません。

ですので処方するときは、人用の薬を獣医師が処方する、いわゆる「適用外使用」がされています。

また、一部の犬さんの下顎が腫れる病気 (唾液腺腫大) の治療にも使われます。

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フェノバルビタールの飲ませ方、タイミング

指定された量を1日2回のませてください。

食前、食後はどちらでも大丈夫です。

なるべく毎日同じ時間に飲ませるようにしましょう。

フェノバルビタールを飲ませ忘れたとき

フェノバルビタール製剤を飲ませ忘れてしまった場合、その時からすぐに発作が起こる可能性が上がってしまいます。

ですので飲ませ忘れに気づいたときは、まずはすぐに飲み忘れた分を飲ませてください。

もし、次回の投薬のタイミングが近いときには次回の投薬を数時間送らせて飲ませて飲ませるようにしましょう。

てんかん発作の薬の管理で大切なことは「毎日同じ量を飲み続ける」ということです。 

次回の投薬が近くても、1回分飛ばすのではなく、少しタイミングをズラして1日2回しっかり飲ませましょう。

ただし!忘れてしまったときでもあわてて2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。

フェノバルビタールの副作用、飲むときに気をつけるべきこと

フェノバルビタール製剤は副作用や飲み合わせなど、飲む上で気をつけるべきことがいくつかあります。

これらの症状が出てこないか注意して使用しましょう。

フェノバールの副作用

フェノバルビタールの副作用として、次のものが起こる可能性があります。

フェノルビタールの副作用

  • ふらつき、元気の消失、過活動
  • 肝機能障害
  • 飲水量の増加
  • リンパ節の腫れ、発熱
  • 赤血球や白血球の減少

フェノバルビタール製剤は油断すると重い副作用が生じる可能性があるため、使用するときは気をつける必要があります。

飲み始めた直後にはふらつきや元気の消失、逆にソワソワしてしまうなどの過活動が起こる可能性があります。

この症状は飲み始めて2週間くらいすれば自然と落ち着くことが多いと言われています。

なので多少は様子を見ても大丈夫ですが、症状が重度である時や、2週間経っても症状が落ち着かない場合はお薬の減量や変更が必要になります。

ふらつきや元気消失がひどい、収まらないときは獣医師に相談しましょう!

また、長期的に飲み続けた場合は肝臓に障害がでてくる可能性があります。

この肝障害が場合によっては命に関わる可能性があるため、定期的な健康診断やを必ず行うようにしましょう。

他にもリンパ節が腫れたり、貧血や白血球の減少などが起こる可能性があります。

なにか違和感を感じたらすぐに獣医師に相談!

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飲ませるときに注意が必要な場合

以下に当てはまる犬さんの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。

注意が必要な場合

  • 妊娠しているとき
  • 肝機能に障害があるとき

妊娠しているとき

フェノバルビタールは胎児に影響が出る可能性があるため、妊娠中の使用には注意が必要です。

肝機能が低下しているとき

フェノバルビタールは、肝機能に障害を与える副作用が報告されています。

肝機能が低下しているときに薬を使用してしまうと副作用が強く現れてしまう可能性があります。

飲み合わせ

フェノバルビタールは肝臓での薬の代謝を強め、他のお薬を効きにくくさせる効果があります。

そのためフェノバルビタールと他のお薬の併用するときは少し注意が必要です。

場合によっては獣医師と相談の上、用量の増量が必要になることもあります。

他のお薬があるときは一度これでいいのか確認してみましょう!

フェノバルビタールの作用機序

フェノバルビタールは神経細胞にあるGABA受容体というタンパク質に作用し、神経の興奮を伝える伝達を抑制します。

これにより発作の原因となる異常な神経活動を抑制する効果を発揮します。

まとめ

以上、フェノバルビタールに対する説明でした。

フェノバルビタールは海外では犬さんや猫さんともに発作の管理のお薬として非常によく使われており、

副作用や効果についてもデータは多く集まっています。

もちろん副作用に注意は必要ですが、必要以上に怖がらずにしっかり使っててんかん発作のコントロールをしていきましょう!

まとめ

  • フェノバルビタールはてんかん発作のお薬
  • 1日2回決まった量を必ず飲ませることが大切
  • 副作用はふらつきや肝障害に注意
  • 長期投与するときには定期的な検診が必要

皆様の参考になれば幸いです。

注意事項

  • この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
  • 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
  • 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
  • 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしてもそれが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。

参考文献

  1. フェノバールH注射液添付文書、住友ファーマアニマルヘルス株式会社
  2. 大草潔、他.犬と猫の治療薬ガイド2023.EDUWARDPress.2022
  3. Volk HA. International Veterinary Epilepsy Task Force consensus reports on epilepsy definition, classification and terminology, affected dog breeds, diagnosis, treatment, outcome measures of therapeutic trials, neuroimaging and neuropathology in companion animals. BMC Vet Res. 2015;11:174. Published 2015 Aug 28. doi:10.1186/s12917-015-0460-3

各2023年3月21日取得

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