消化器のお薬 犬と猫のお薬解説

犬猫お薬解説-セレニアの効果や副作用、飲ませ方を現役獣医師がわかりやすく解説!

2022年12月26日 なんたべ

病院でセレニアっていうお薬を処方されたけれども、

  • セレニアの効果は?
  • 副作用は何があるの?
  • 飲ませるタイミングはいつ?
  • 飲ませ忘れてしまったらどうする!?
獣医なんたべ

そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!

このページで解説するお薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。

解説するお薬の名前

  • セレニア
  • マロピタント

この記事を読むことで、

より安心して、安全にお薬を使うことができるようになりますよ!

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ここだけ見れば大丈夫!セレニアまとめ

セレニアの錠剤
セレニア錠 Zoetis社
成分名マロピタント
商品名セレニア
特徴、はたらきおう吐、乗り物酔いの改善
咳の改善
使う動物犬、 (猫)
副作用おう吐、下痢、食欲不振等
注意事項異物の閉塞等がある場合は、症状を悪化させる可能性があります。
心あたりがある場合は獣医師に相談しましょう。

ここから先はセレニアについて更に詳しく説明していきます!

セレニアについてしっかりと学んでいきましょう!

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セレニアの効果と特徴

セレニアの効果、特徴

セレニアは犬さんと猫さんの嘔吐や乗り物酔いの予防に使われるお薬です。

他にも最近は慢性気管支炎に対する咳止めとしても有効であると言われています(参考文献5)。

セレニアの効果と成分

セレニアにはマロピタントという有効成分が含まれています。

このマロピタントがおう吐を引き起こす体の反応を直接抑え、吐き気止めの効果を発揮します。

吐き気を直接抑える効果があり、体感ですがメチャ効きます。

セレニアには、飲み薬の他に注射薬もあり、吐き気が強すぎてお薬が飲めない子には注射で対応することもできます。

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セレニアの飲ませ方、タイミング

セレニアの飲ませ方、タイミング

指定された量を1日1回のませてください。

お腹が空いているときに飲むと吐き戻してしまう事があるので、食後か、少量のご飯と一緒に飲ませると良いでしょう。

食欲が無いときは何も食べていな異状態で飲ませてOKですよ

乗り物酔いの予防として使うときは、移動の1時間前までに飲ませるようにしましょう。

とはいえ猫さんが嫌がって全然お薬を飲んでくれない!

そんなときはこちらも参考にしてください↓

また、基本的に使用は連続5日までと決められています。

もし連続して使うときがあれば獣医師の検診を受けるようにしましょう。

セレニアを飲ませ忘れたとき

セレニアを飲ませ忘れたときは

セレニアを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。

しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。

忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出てしまう可能性があります。

忘れてしまったときでもいつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。

セレニアの副作用、飲むときに気をつけるべきこと

セレニアは副作用がそこまで多くなく、安全性の高いお薬です。

それでもいくつか気をつけるべきことがあるので、ぜひ知っておいてください。

セレニアの副作用

セレニアで副作用はあまり見かけません。

しかし、次の副作用が報告されています。これらの症状が現れたら獣医師に相談してください

セレニアの副作用

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 元気消失、鎮静(ここまで各参考文献1)
  • 呼吸状態の悪化(参考文献4)
  • 食欲不振(参考文献5)

とくに喘息や気管支炎の猫さんに投与したときは、痰が吐き出せなくなってしまい呼吸状態が悪化する危険性が指摘されています。(参考文献4)

呼吸がしんどそうじゃないか気をつけて見るようにしましょう。

いつもと違う症状が現れたときは獣医さんに相談しましょう。

あとは味が嫌いすぎてアワアワにして吐き出してしまう猫さんも多くいます。これは副作用とは違うので焦らなくて大丈夫ですよ。

ただし、あまりに嫌がるならお薬を変えたほうがいいので、そのときも獣医さんに相談してみましょう!

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飲ませるときに注意が必要な場合

以下に当てはまる犬さん猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。

  • 年齢が16週齢(4ヶ月)未満のとき
  • 体重が2kg未満(乗り物酔いのときは1kg未満)のとき
  • 交配予定、妊娠、授乳中のとき
  • 肝疾患を有するとき
  • 心疾患を有するとき
  • 消化管の通過障害、有害物質の摂取が疑われるとき
  • 空腹時

 16週齢(4ヶ月)未満のとき

安全性が確認されていませんので基本的には非推奨です。

交配予定、妊娠、授乳中のとき

安全性が確認されておらず、胎児や子どもに影響が出る可能性があります。

体重2kg未満(乗り物酔いのときは1kg未満)のとき

過剰量投与してしまう可能性があります。

投薬量に注意が必要です。

肝疾患を有するとき

主に肝臓で薬が代謝されるので、薬が分解されるまでの時間や肝臓の機能に影響が出る可能性があります。

心疾患を有するとき

心拍などに影響を与える可能性があります。 (参考文献3)

消化管の通過障害、有害物質の摂取が疑われるとき

嘔吐の原因となる基礎疾患が明らかなときは、そちらの究明及び治療が優先になります。

空腹時

薬を飲んだあとにすぐ吐いてしまう可能性があります。

少量の食事を先に与えると緩和することができます。

飲み合わせ

セレニアの飲み合わせ

次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう

カルシウムイオンチャネル拮抗薬

飲み合わせの悪いお薬

  • アムロジピン(血圧のお薬)
  • ジルチアゼム(不整脈のお薬)

など

セレニアもこれらのお薬と同じ部位に作用するため、薬の効果に影響が出る可能性があります

アムロジピンは高血圧の猫さんによく処方されるお薬なので気をつけましょう。

どうしても併用が必要な場合は効果が強く出過ぎないか注意しましょう。

NSAIDs、ループ利尿薬など

体の中での薬の効き方に影響を及ぼす可能性があります。

併用するときは、副作用が出ないか、薬の効きが弱くならないか等に注意が必要です。

これらも使われることの多いお薬ですので一度手持ちのお薬を確認してみましょう

セレニアの動物用医薬品としての承認

医薬品としての承認

セレニアの飲み薬は犬さんに対する

    • おう吐の抑制、予防
    • 乗り物酔いによるおう吐の予防

に対して医薬品としての承認が得られています。

猫さんに対する飲み薬の使用や、咳止めとしての使用等は適用外使用になります。

その場合は効果やリスクについてしっかりと獣医師と相談しましょう。

まとめ

以上、セレニアに対する説明でした。

セレニアまとめ

  • セレニアはおう吐や車酔いを改善するお薬
  • 最近は咳止めにも使われる
  • 食前より食後がベター
  • 猫さんの呼吸状態は要注意
  • 飲み合わせもいくつかは注意

皆様の参考になれば幸いです。

注意事項

  • この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
  • 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
  • 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用することをお勧めいたします。
  • 獣医療で使用される多くの薬は用法、用量が画一的に定まっておらず、使用法について獣医師一人一人考え方は違います。当サイトに記載している用法、用量は一例であり、かかりつけの獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが必ずしも間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。

参考文献

  1. セレニア®錠添付文書: https://www.zoetis.jp/ca/dogs/cerenia-tabs/
  2. SA Medicine,EDUWARD Press,138号,2022年,4-9頁
  3. EUROPIAN MEDICINES AGENCY https://www.ema.europa.eu/en/medicines/veterinary/EPAR/cerenia
  4. CLINIC NOTE,EDUWARD Press,189号,2021年,12-18頁
  5. SA Medicine,EDUWARD Press,140号,2022年,12-15頁
  6. Cerenia  drug insert,Zoetis: https://www2.zoetisus.com/content/pages/products/petcare/Cerenia-Resources/documents/Cerenia-Tablets-and-Injectable-Solution-Combined-Marketing-Package-Insert.pdf 
  7. Quimby JM, Brock WT, Moses K, Bolotin D, Patricelli K. Chronic use of maropitant for the management of vomiting and inappetence in cats with chronic kidney disease: a blinded, placebo-controlled clinical trial. J Feline Med Surg. 2015;17(8):692-697. doi:10.1177/1098612X14555441

各2023年4月24日日取得

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