病院でトリロスタンやアドレスタンっていうお薬を処方されたけれども、
- このお薬の効果は?
- 飲ませるタイミングはいつ?
- 飲ませ忘れてしまったらどうする?
- 副作用は何があるの?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!
お薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。
解説するお薬の一覧
- トリロスタン
- アドレスタン
- デソパン
この記事を読むことで、
より安心して、安全にお薬を使うことができるようになりますよ!
ここだけ見れば大丈夫!トリロスタン、アドレスタンまとめ
成分名 | トリロスタン |
商品名 | アドレスタン (動物用医薬品)、デソパン (人体用医薬品) 、その他ジェネリック製品 |
特徴、はたらき | 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の治療に用いられます。 |
使う動物 | 犬、猫 |
副作用 | 元気消失、食欲不振 ふるえ、よだれ 下痢、おう吐 等 |
注意事項 | 使用する上では定期的な健康診断が必須です。 また、獣医師の指示なく中断、減量してはいけません。 妊娠中の女性が誤って摂取してしまうと、妊娠や胎児の発育に影響を与える可能性があります。 できることならなるべく薬に触らず、投薬は他の人にお願いするようにしましょう。 |
ここから先はトリロスタンについて更に詳しく説明していきますよ!
特に副作用や使用上の注意は絶対に見ておいてほしいです!
トリロスタンの効果と特徴
トリロスタンは副腎皮質機能亢進症 (クッシング症候群) に使われるお薬です。
副腎と呼ばれる臓器は、全身の栄養の代謝やストレス、ミネラルバランスを調節するホルモンを分泌しています。
副腎皮質機能亢進症は、このホルモンが過剰分泌されることで、生体内のバランスが乱れてしまう病気です。
トリロスタンはこれらの副腎皮質ホルモンの分泌を抑え、乱れた生体内のバランスを取り戻すお薬です。
トリロスタンは薬の有効成分の名前を指しており、アドレスタンや、デソパンといった商品名で販売されています。
また、それ以外にもジェネリック製品がでており、それが処方されることもあります。
トリロスタンの飲ませ方、タイミング
指定された量を1日1回または2回、獣医師に指示された回数のませてください。
飲ませるときは食事と一緒にあげるようにしましょう。
なるべく毎日同じ時間に飲ませてください。
トリロスタンを飲ませ忘れたとき
トリロスタンを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。
しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。
忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出る可能性があります。
いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。
トリロスタンの副作用、飲むときに気をつけるべきこと
トリロスタン製剤は副作用や飲み合わせなど、飲む上で気をつけるべきことがいくつかあります。
これらの症状が出てこないか注意して使用しましょう。
トリロスタンの副作用
トリロスタンの副作用として、次のものが起こる可能性があります。
トリロスタンの副作用
- 副腎皮質機能低下症
→ふるえ、飲水量の増加、元気の消失等 - 食欲の低下
- 下痢、軟便、おう吐
- 運動失調
- よだれ
- ミネラルバランスの乱れ
- 貧血、白血球の低下等
トリロスタン製剤は油断すると重い副作用が発生する可能性があります。
特に薬の効果が出すぎてしまうと、副腎皮質ホルモンが減りすぎて、体調を崩してしまうことがあります。
この状態は副腎皮質機能低下症と呼ばれ、ふるえや元気の消失、下痢やおう吐などの消化器症状が主に現れます。
これらの症状が現れた場合は薬の中断や減量が必要になるので、速やかに獣医師に相談するようにしましょう。
初めて投与するとき、薬を増量した直後は特に注意が必要です!
また、病院で行う血液検査で副作用が判明することもあります。
これらの副作用は場合によっては命に関わることがあるため、定期的な健康診断を必ず行うようにしましょう。
不安なことがあれば獣医師にすぐに相談してくださいね!
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる犬さんの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
注意が必要な場合
- 妊娠を予定しているとき、妊娠中、授乳中のとき
- 肝機能に障害があるとき
- 腎機能に障害があるとき
- 貧血があるとき
妊娠を予定しているとき、妊娠中、授乳中のとき
妊娠、授乳中にトリロスタンを使用すると、胎児の発育や妊娠機能に影響を与えると言われています。
この状態の犬さんには投与してはいけません。
肝機能、腎機能に障害があるとき、貧血があるとき
薬の効果や副作用が強く出る可能性があるため、使用しないことが推奨されております。
やむを得ず使用する場合は副作用に注意してください。
飲み合わせ
次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう
併用注意の薬
- ACE阻害薬
ベナゼプリル、アラセプリル、テモカプリル等
- カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン、トリアムテレン等
これらのお薬と一緒に飲むと効果が強く出すぎてしまう可能性があります。
具体的には血圧の低下や、血液中のカリウムの数値が上がってしまう可能性があります。
ただし状態によっては併用して使うときもしばしばあります。
その場合は体調が崩れないかしっかりと確認しましょう。
犬さんや猫さんの状態によっては併用して使うときもあります!
気になったら獣医師に相談しましょう!
まとめ
以上、トリロスタンに対する説明でした。
トリロスタンはクッシング症候群、副腎皮質機能亢進症の治療の第一選択薬として使われます。
適切に使用されれは病気の犬さんや猫さんの寿命を適切に伸ばすことが可能です。
もちろん副作用に注意は必要ですが、必要以上に怖がらずにしっかり使って病気のコントロールをしていきましょう!
まとめ
- トリロスタンは副腎皮質機能亢進症のお薬
- 副作用は元気の消失やふらつきに注意
- 長期投与するときには定期的な検診が必要
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
- 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献