寄生虫のお薬 犬と猫のお薬解説

【獣医執筆】イベルメックの効果や副作用、飲ませ忘れ時の対処法について解説します!

2023年3月3日 なんたべ

病院でイベルメックっていうお薬を処方されたけれども、

  • お薬の効果は?
  • 副作用は何があるの?
  • 飲ませるタイミングはいつ?
  • 飲ませ忘れてしまったらどうする!?
獣医なんたべ

そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!

この記事を読むことでより安心して、安全にイベルメックを使うことができるようになりますよ!

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イベルメックってなんのお薬? 概要説明

イベルメックは犬さんの主にフィラリアなどの寄生虫の予防に使われるおくすりです。

フィラリア以外にも、回虫や鉤虫などの体の中に寄生するそうめんタイプの寄生虫 (線虫の仲間) に効果を発揮します。

イベルメクチンと、ピランテルパモ酸塩という2種類の有効成分が含まれており、フィラリアや犬回虫、犬鉤虫といった寄生虫に対する殺虫効果をもっています。

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イベルメックの飲ませ方

指定されたサイズのお薬を指定された期間の間1ヶ月に1回、毎月決まった日に飲ませてください。

食べさせるときは、よく噛んで食べさせるようにしましょう。丸飲みすると腸に詰まってしまう可能性があります。

丸飲みしがちなワンちゃんには砕いてあげたほうがいいです。

フィラリアのお薬を飲ませる必要がある期間は、住んでいる地域毎に蚊が飛んでいる時期によって変わります。

いつからいつまで飲ませればいいのかはかかりつけの先生の指示に従いましょう。

基本的には蚊がいる期間+1ヶ月がです。

また、お薬を飲んでからすぐにに吐いてしまった場合は、お薬が吸収されていません。

そのときはお薬をもう一度あげるようにしましょう。

たった1回お薬を飲ませ忘れただけで、フィラリアに感染してしまう可能性があります!

フィラリアのお薬は毎月、同じ日に、確実に飲ませるようにしましょう!!

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イベルメックを飲ませ忘れたとき

イベルメックを飲ませ忘れてしまった場合、思い出したその日にすぐにあげてください。

その後、来月以降はいつも通りの投薬予定日に飲ませて大丈夫です。

フィラリアのお薬は投与間隔が1ヶ月以上空いたら効果がなくなります。

次回の投薬予定日が近くても、その日まで待ってはいけません。思い出した当日にすぐに飲ませるようにしましょう。

フィラリアのお薬は1ヶ月以上間を開けたらダメ!絶対!

また、忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。

副作用、気をつけるべきこと

イベルメックは動物用医薬品で、犬さんに対して安全性が確認されているお薬です。

それもでも副作用や飲むときに気をつけるべきことがありますので、一度確認しておきましょう。

イベルメックの副作用

イベルメックは次の副作用が報告されています。

イベルメックの副作用

  • おう吐、下痢、食欲不振
  • 元気の消失
  • 神経症状
    症状:けいれん、ふらつき、よだれ、ふるえ

フィラリアにすでに感染していた犬に投与した場合

  • アナフィラキシーショック、元気消失、呼吸促迫、血尿、咳

これらの症状が見られたら獣医師に相談しましょう。

特に、フィラリアにすでに感染している犬さんに投薬した場合は、体の中で大量のフィラリアが一気に死んでしまい、アナフィラキシーショックなどの重い症状が出る可能性があります。

薬を飲ませた後に、急にぐったりして動けない、呼吸がおかしい、血尿がひどいなどの症状があればすぐに獣医師に相談しましょう。

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飲ませるときに注意が必要な場合

以下に当てはまる犬さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。

注意が必要な場合

  • フィラリアに感染しているとき
  • 離乳前の子犬のとき
  • てんかん発作の病気をもっているとき
  • コリー犬系統 (コリー、ボーダーコリー、シェルティ等) のとき
  • 牛肉系にアレルギーを有する場合
  • フィラリアに感染しているとき

体の中にいる大量のフィラリアが一気に死ぬことにより、アナフィラキシーショックなどの症状を引き起こす可能性があります。

フィラリアの薬の購入前には必ず動物病院で感染していないことを確認しましょう。

  • 離乳前の子犬のとき

安全性が確認されていないため、使用してはいけません。

  • てんかん発作の病気をもっているとき

神経症状などが現れる可能性があるので、投与するときは十分注意しましょう。

  • コリー犬系統 (コリー、ボーダーコリー、シェルティ等) のとき

神経症状が現れる可能性があります。用法、用量を厳密に守りましょう。

また、投与した後はふらつきや発作などの神経症状が出ないかしっかり観察ましょう。

  • 牛肉系にアレルギーを有する場合

成分に牛肉が含まれているため、アレルギー症状が出る可能性があります。この場合は別のフィラリアのお薬を飲むようにしましょう。

飲み合わせの悪いお薬

イベルメックとの併用に注意が必要な薬は報告されていません。

他のお薬を飲んでいても使って大丈夫です。

イベルメックと同じ成分の薬

同じフィラリア予防のお薬で、イベルメックと同じ成分を含むお薬は次のものがあります。

イベルメックと同じ成分の薬

  • カルドメック (ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘルスジャパン株式会社)
  • イベルメック (フジタ製薬株式会社、DSファーマアニマルヘルス株式会社)
  • イベルガード (共立製薬株式会社)
  • パナメクチンチュアブル (明治アニマルヘルス株式会社)

カルドメックチュアブルが先発品で、イベルメックやイベルガードはそのジェネリック品です。

形や味に若干の違いはありますが、有効成分や効果については基本的に変わりません。

イベルメックの効果、医薬品としての承認

イベルメックは犬さんの動物用医薬品として次の効果に承認が取られています。

犬さんでの承認

  • 犬糸状虫 (フィラリア) の感染予防
  • 回虫、鉤虫の駆除

イベルメックの作用機序

イベルメックにはイベルメクチンとピランテルという2種類の成分が含まれています。

イベルメクチンとピランテルはどちらも犬や人等の動物は持っていないけれども寄生虫だけが持っているタンパク質に働き、寄生虫の神経活動を阻害させ、死に至らしめる効果を持っています。

具体的にはイベルメクチンはグルタミン酸受容体というタンパク質を、ピランテルはアセチルコリン受容体というタンパク質を活性化することでそれぞれ神経活動を阻害し、寄生虫を麻痺させる効果があります。

まとめ

以上、イベルメックに対する説明でした。

イベルメックの主成分であるイベルメクチンはフィラリアの予防薬として古くから使われており、その安全性が確認されています。

特にイベルメックの主成分であるイベルメクチンは妊娠期や離乳後の子犬さんなどに対しても安全性が確認されており、安心して使うことができます。

どのフィラリアの予防薬にも当てはまりますが、事前にフィラリアがいないことチェックをすること、毎月同じ日に飲ませることがとても重要になってきます。

お薬についてしっかり理解して安心安全に使うことができるようにしましょう!

    まとめ

    • イベルメックはフィラリアの駆除のお薬
    • 毎月1回決まった日付に飲ませる
    • 効果がなくなる可能性があるので、1ヶ月以上は間隔を開けないこと
    • 飲ませ忘れに気づいたらその日に飲ませること
    • お薬を貰う前はフィラリアがいないか必ずチェックすること

皆様の参考になれば幸いです。

注意事項

  • この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
  • 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
  • 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
  • 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしてもそれが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。

参考文献

  1. イベルメック添付文書、フジタ製薬株式会社
  2. 大草潔、他.犬と猫の治療薬ガイド2023.EDUWARDPress.2022

各2023年3月2日取得

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