病院でプロナミドやモサプリドっていうお薬を処方されたけれども、
- プロナミドの効果は?
- 副作用は何があるの?
- 飲ませるタイミングはいつ?
- 飲ませ忘れてしまったらどうする!?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!
このページで解説するプロナミドは次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。
解説するお薬
- プロナミド
- モサプリド
- ガスモチン
この記事を読むことで、
より安心して、安全にプロナミドを使用できるようになりますよ。
ここだけ見れば大丈夫 プロナミド、モサプリドまとめ
成分名 | モサプリド |
商品名 | プロナミド(動物用医薬品)、ガスモチン(人体用医薬品) |
特徴、はたらき | おう吐の抑制、食欲不振の改善、便秘の改善 |
使う動物 | 犬、猫 |
副作用 | 高脂血症、顔の腫れ 等 |
注意事項 | 妊娠中や、吐血、黒色便などがあるときは使用に注意が必要です。 |
ここからはプロナミドについて更に詳しく説明していきます!
プロナミドやモサプリドについてしっかりと知識をつけましょう!
プロナミドの効果と特徴
プロナミドは主に吐き気の抑制や、食欲増進に使われるお薬です。
また、便秘に対しても処方されることもあります。
プロナミドにはモサプリドという有効成分が含まれています。
このモサプリドが胃や腸の動きを改善することで効果を発揮します。
このお薬は消化管のみに作用するため、他の吐き気止めで見られるような神経系の副作用の危険性もほとんどどありません。
お腹をスッキリさせて気持ち悪さを抑えるイメージですね!
プロナミドは動物用の医薬品として販売されている名前で、人用の薬としてはガスモチンという名前で販売されています。
プロナミドを飲ませるタイミング
指定された量を1日2回、食前に飲ませてください。
食事と一緒に飲ませると吸収効率が低下すると報告されており、食事の30分前に飲ませたほうが安定した効果が得られると考えられます(参考文献6)。
食前に飲めればベストですが、食後に飲ませても問題ないですよ
とはいえ猫さんが嫌がって全然お薬を飲んでくれない!
そんなときはこちらも参考にしてください↓
プロナミドを飲ませ忘れたとき
プロナミドを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。
しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。
忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!
副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。
プロナミドの副作用、気をつけるべきこと
プロナミドの副作用はそこまで多くありません。
しかし、いくつか気をつけたほうがいいことがあるので、確認していきましょう。
プロナミドの副作用
プロナミドは比較的副作用が少なく、使いやすいお薬ではあります。
それでも以下の副作用が報告されていますので、注意しましょう。
プロナミドの副作用
- 顔の腫れ (参考文献5)
- 高脂血症 (参考文献1)
大量に飲ませた場合、下痢や食欲不振、おう吐や肝数値の上昇などが起こることも報告されています。
これらの症状やいつもと違う何かが起きたときは獣医師に相談しましょう。
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる犬さんや猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師と相談しましょう。
注意が必要な場合
- 妊娠中及び授乳中であるとき
- 非常に高齢なとき
- 年齢が4ヶ月以下であるとき
- 体重2.5kg以下であるとき
- 異物などの誤食が疑われるとき
- 吐血や真っ黒な便が見られる場合
妊娠中、授乳中であるとき
安全性が確認されていないので、使用は避けましょう。
非常に高齢なとき、年齢が4ヶ月以下のとき
安全性が確認されていないので使用する上では注意が必要になります。
体重2.5kg以下であるとき
体重に対して過剰な量を投薬してしまう可能性があります。使うときは用量に注意が必要です。
異物などの誤食が疑われるとき
消化管が異物などにより詰まっているときは、腸を動かしても症状は改善しません。むしろ無理やり異物を動かしてしまって悪化させてしまう可能性があります。 (参考文献4)
吐血や真っ黒な便が見られる場合
胃や十二指腸で出血している可能性があります。
この場合に使用すると出血を悪化させる可能性があります。(参考文献6)
飲み合わせ
次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。
これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう。
併用注意の薬
- アトロピン(不整脈のお薬)
- ブチルスコポラミン(消化管の運動を抑制する薬)
これらのお薬はモサプリドの機能と反対の性質を持っており、それぞれの薬の効果を打ち消してしまう可能性があります。
不整脈を持っているときは要注意!
プロナミドの医薬品としての承認と適用外使用
プロナミドは犬さんに対する
- おう吐の抑制
- 食欲不振の改善
に対して医薬品としての承認が得られています。
猫さんに対する使用や便秘に対しての投薬は適用外使用になります。
効果やリスクについてしっかりと説明を受けるようにしましょう。
まとめ
以上、モサプリドに対する説明でした。
モサプリドはおう吐や食欲不振に対して消化管をよく動かすことでその症状を改善してくれるお薬です。
副作用も比較的少ないため、幅広い場面で処方されるお薬です。
まとめ
- モサプリド(商品名プロナミド)は嘔吐や食欲不振、便秘を改善するお薬
- 閉塞があるとき以外は重篤な副作用は少ない
- 不整脈のお薬以外は飲み合わせに気をつけなくても大丈夫
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用することをお勧めいたします。
- 獣医療で使用される多くの薬は用法、用量が画一的に定まっておらず、使用法について獣医師一人一人考え方は違います。当サイトに記載している用法、用量は一例であり、かかりつけの獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが必ずしも間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献
- プロナミド®錠添付文書https://www.ds-vet.jp/product/pronamid/pdf/documents.pdf
- WSAVA/FECAVA/BSAVA World Congress 2012 Use of Mosapride Citrate in Cats with Chronic Constipationhttps://www.vin.com/apputil/content/defaultadv1.aspx?id=5328527&pid=11349
- Tsukamoto A, Ohno K, Maeda S, et al. Effect of mosapride on prednisolone-induced gastric mucosal injury and gastric-emptying disorder in dog. J Vet Med Sci. 2012;74(9):1103-1108. doi:10.1292/jvms.12-0066
- MVM192号.ファームプレス.2020.p89
- 動物用医薬品等副作用データベースhttps://www.vm.nval.go.jp/sideeffect/
- SA Medicine.138号.EDUWARD Press.2022.p10
- 猫の治療ガイド2020,EDUWARD Press.p323