犬と猫のお薬解説 痛み、炎症のお薬

犬のお薬解説-リマダイルの効果や副作用、使い方を現役獣医師がわかりやすく解説します

2023年2月11日 なんたべ

リマダイルの錠剤

病院でリマダイルっていうお薬を処方されたけれども、

  • リマダイルの効果は?
  • 飲ませるタイミングはいつ?
  • 飲ませ忘れてしまったらどうする?
  • 副作用は何があるの?
獣医なんたべ

そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!

このページで解説するお薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。

解説するお薬の一覧

  • リマダイル
  • カルプロフェン
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リマダイルってなんのお薬? 概要説明

リマダイルは主に犬さんの痛み止めや、炎症止めに使われるお薬です。

特に骨や関節等に発生した痛みの管理によく使われます。

リマダイルの中にはカルプロフェンという有効成分が含まれています。

カルプロフェンは、「痛みや炎症の元」となる物質を体の中で作らせなくすることで、鎮痛や抗炎症効果を発揮します。

人の薬でいうロキソニンやカロナールと同じジャンルに分類されるお薬です。

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リマダイルの飲ませ方、タイミング

指定された量を1日1回または2回のませてください。食前、食後はどちらでも大丈夫です。

1日1回飲ませるように処方された場合は、1日2回飲ませてはいけません。

量が多くなりすぎて副作用が強く出る場合があります。

獣医さんに指定されてた回数以上は飲ませないようにしましょう!

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リマダイルを飲ませ忘れたとき

リマダイルを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。

しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。

忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!

副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。

リマダイルの副作用、飲むときに気をつけるべきこと

リマダイルなどの痛み止めは、飲む上で気をつけるべき副作用がいくつかあります。

これらの症状が出てこないか、注意して使用しましょう。

リマダイルの副作用

リマダイルの副作用は次のものが起こる可能性があります。

リマダイルの副作用

  • 下痢、黒色便、血様便
  • おう吐、食欲不振
  • 胃腸の障害
    症状:元気や食欲の低下、おう吐や吐血、血便
  • 腎臓の障害 
    症状:元気や食欲の低下、飲水量や尿量の増加や減少等
  • 肝数値の上昇
    症状:元気食欲の低下、粘膜の黄色化 (黄疸) 等
  • 心臓の疾患や高血圧の悪化
    症状:呼吸状態の悪化等
  • 皮膚の赤み

リマダイルなどの痛み止めは、痛みだけでなく、胃や腸にできた傷の回復もストップさせてしまうと考えられています。 (参考文献6)

それにより胃に傷ができてしまい、おう吐や下痢、食欲不振、胃腸からの出血などの症状が現れることがあります

副作用予防のために、胃腸を保護するお薬を一緒に出されたりもします。

リマダイルはなるべく副作用が出ないように作られていますが、それでも胃腸が荒れてしまうことがあるので注意が必要です。

また、血流の減少や、血管にも影響を与える可能性があり、腎臓や心臓の病気を悪化させてしまうこともあります。

これらの症状が現れたら内服を中断し、獣医師に相談してください。

また、長期間内服をつづけると、副作用がより現れやすくなります。

長期的に服用するときには、獣医師の定期的な検診を受けるようにしましょう。

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飲ませるときに注意が必要な場合

以下に当てはまる犬さんの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。

注意が必要な場合

  • 繁殖妊娠、授乳中のとき
  • 体重が2kg未満のとき
  • 高齢で衰弱しているとき
  • 消化器症状 (特に胃潰瘍など) があるとき
  • 腎臓が悪いとき
  • 脱水をしている時 
  • 肝臓が悪いとき
  • 心臓が悪いとき
  • 貧血、出血傾向、低血圧等の症状があるとき
  • とうもろこし、小麦、豚肉にアレルギーがあるとき
  • 繁殖、妊娠、授乳中のとき
  • 体重が2kg未満のとき

これらに該当するときは基本的に使用しては行けません。

  • 高齢で衰弱しているとき

副作用が強く出る可能性があるため、使用するときには十分注意が必要です。

  • 消化器症状 (特に胃潰瘍など) があるとき
  • 腎臓が悪いとき
  • 脱水をしている時 
  • 肝臓が悪いとき
  • 心臓が悪いとき
  • 貧血、出血傾向、低血圧等の症状があるとき

もともとあるこれらの症状を悪化させてしまう可能性があります。

  • とうもろこし、小麦、豚肉にアレルギーがあるとき

チュアブルタイプのお薬の原料に使われているので、アレルギー症状が出てしまう可能性があります。

飲み合わせ

次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう。

併用注意の薬

  • ステロイドやその他の抗炎症薬

プレドニンメロキシカムオンシオールプレビコックスガリプラント

  • アミノグリコシド系抗生物質

ゲンタマイシン、カナマイシン

これらのお薬と併用してはいけません。

これらのお薬を使っていたときは少なくとも1日は間を開けるようにしましょう。

炎症とめのお薬は1種類のみ使用が原則!

併用注意の薬

  • ACE阻害薬

フォルテコールベナゼハートワンハートアピナックエースワーカー

  • 利尿薬

フロセミド、ヒドロクロロチアジド

  • 抗凝固薬

ワルファリン

体の中での薬の効き方に影響を及ぼす可能性があります。

併用するときは、副作用が出ないか、薬の効きが弱くならないか等に注意が必要です

リマダイルの効果、医薬品としての承認

リマダイルは動物用医薬品として次の効果が承認されています。

犬さんの効果

犬さんでの承認

  • 関節炎などの骨の障害に対する炎症及び疼痛の緩和

これら以外にも、適応外使用にはなりますが、がんの痛みや怪我の痛み、発熱など、様々な疼痛や炎症の緩和に使われるお薬です。 (参考文献2,3,4)

猫さんの効果

リマダイルは猫さんの動物用医薬品としての承認は取られておらず、使用の推奨もされていません。

一応ある程度の効果や安全性を示す報告もありますが、(参考文献6)

同様の効果で承認の取られている別のお薬(オンシオールメタカム)があるため、そちらが使われることが多いです。

リマダイルの作用機序

痛みや炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで、鎮痛、抗炎症効果を発揮します。

プロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という合成酵素から作られ、全身の痛みや炎症を強くする効果を持っています。

リマダイルの中に含まれるカルプロフェンはこのCOXの働きを抑えることで、プロスタグランジンの産生を抑制し、痛みや炎症を抑制します。

まとめ

以上、リマダイルに対する説明でした。

リマダイルは痛み止めに使われるお薬のうちのNSAIDsというジャンルに分類されるお薬です。

獣医療の痛みの管理において、NSAIDsは中心的な使われ方をしているお薬です。

実績はありますが、副作用も一定数発生しているため、気をつけて使うようにしましょう。

    まとめ

    • リマダイルは痛み止めのお薬
    • 1日1回か2回、獣医師に指定された回数飲ませる
    • 副作用は少ないが、消化器症状、腎臓、肝臓に注意
    • 長期投与するときには定期的な検診が必要

皆様の参考になれば幸いです。

注意事項

  • この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
  • 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
  • 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
  • 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしてもそれが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。

参考文献

  1. リマダイル添付文書、エランコジャパン株式会社
  2. 図版で理解する 犬と猫の麻酔・疼痛管理ハンドブック、EDUWARD Press、2018年
  3. Gruen ME, Lascelles BDX, Colleran E, et al. 2022 AAHA Pain Management Guidelines for Dogs and Cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2022;58(2):55-76. doi:10.5326/JAAHA-MS-7292
  4. Mathews K, Kronen PW, Lascelles D, et al. Guidelines for recognition, assessment and treatment of pain: WSAVA Global Pain Council members and co-authors of this document:. J Small Anim Pract. 2014;55(6):E10-E68. doi:10.1111/jsap.12200
  5. NSAIDsとアセトアミノフェン、日本ペインクリニック学会HP:https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_keynsaids.html
  6. Lascelles BD, Cripps P, Mirchandani S, Waterman AE. Carprofen as an analgesic for postoperative pain in cats: dose titration and assessment of efficacy in comparison to pethidine hydrochloride. J Small Anim Pract. 1995;36(12):535-541. doi:10.1111/j.1748-5827.1995.tb02805.x

各2023年2月10日取得

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