動物病院でメトロニダゾールやフラジールっていうお薬を処方されたけれども、
- メトロニダゾールやフラジールってなんのお薬?
- 飲ませ方や、飲ませ忘れたときの対処法は?
- 副作用は何があるの?
- 飲み合わせや飲んではいけないとき (禁忌)はなにがあるの?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすく解説します!
ここだけ見れば大丈夫!メトロニダゾールまとめ
成分名 | メトロニダゾール |
商品名 | フラジール(シオノギファーマ) |
特徴、はたらき | 細菌や、原虫と呼ばれる寄生虫を駆除する効果があります。 特に嫌気性菌と呼ばれる種類の菌の感染に使われます。 |
使う動物 | 犬、猫 |
副作用 | おう吐、発作などの神経症状など |
その他 | 動物用医薬品としての販売はされていません。 使用するメリットとデメリットをしっかりと獣医師に聞きましょう。 粉末化は可能ですが、粉にした場合は遮光が必要です。 |
メトロニダゾールは細菌や寄生虫に対するお薬
メトロニダゾールは細菌感染や、原虫と呼ばれる寄生虫の感染に対して使用される抗菌薬で、細菌が原因の様々な病気の治療に使われます。
他にも腸の免疫を整える効果があり、炎症性腸疾患の治療にも使われています。
メトロニダゾールはフラジールという製品名で人用の薬として販売されている商品です。
動物用の飲み薬は販売されていないため、獣医師が自分の知識と経験から人のお薬を使う、いわゆる「適用外使用」がされているお薬です。
使うときは獣医師の話をしっかりと聞きましょう。
メトロニダゾールの飲ませ方
指定された量を指定された回数 (大体1日2回) のませてください。食前、食後はどちらでも大丈夫です。
メトロニダゾールは苦味が強いお薬として知られています。
猫さんが嫌がって全然お薬を飲んでくれない!なんてことも、、
そんなときはこちらも参考にしてください↓
メトロニダゾールを飲ませ忘れたとき
メトロニダゾールを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。
しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。
忘れてしまったときでも、いつもと同じ量を飲ませてください。
焦って2倍の量を飲ませることはNG!!
副作用が強く出る可能性があります。
副作用、気をつける症状
メトロニダゾールにはいくつか副作用があります。これらの症状が出てこないか注意して使用しましょう。
メトロニダゾールの副作用
- おう吐
- 元気の消失、沈鬱
- 神経症状、発作
特に、高用量での内服や、長期間での内服を続けている場合に、神経系の症状が出る危険性が上がると考えられています。
副作用が現れた場合は獣医師にすぐに相談し、指示に従って対処しましょう
軽い副作用ならば病気の治療を優先することもあります。
安全な薬の使用のためにも、定期的な獣医師とのコミュニケーションをしっかりと行いましょう。
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる犬さんや猫さんの投薬は注意が必要です。
投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
注意が必要な場合
- 妊娠をしているとき
- 発作などの神経系の疾患を持っているとき
これらの状況に当てはまる場合、薬の使用が制限されたり、使用する際のリスクが上がります。
必ず獣医師と相談し、適切な判断と処方を受けましょう。
注意が必要な飲み合わせ
メトロニダゾールは他の薬と一緒に飲む際に注意が必要です。
飲んでいる薬のリストをもう一度確認しましょう。
効果が出すぎてしまう組み合わせ
これらのお薬との併用により、それぞれの薬の効果が強く出過ぎる可能性があります。
併用注意の薬
- 抗凝固薬
ワルファリン - 免疫抑制薬
シクロスポリン
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
- 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献
- Mark G. Papich, Papich Handbook of Veterinary Drugs 5th Edition.Elsevier.2020 https://www.elsevier.com/books/papich-handbook-of-veterinary-drugs/papich/978-0-323-70957-6
- 大草潔, 犬と猫の治療薬ガイド2023.EDUWARDPress.2022https://eduward.online/products/detail/2125
- 佐川賢一, 錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック第5版.株式会社じほう.2008
- フラジール添付文書、シオノギファーマ株式会社
- Peterson HM, Manley CI, Trepanier LA, Pritchard JC. Genotoxicity from metronidazole detected in vitro, but not in vivo, in healthy dogs in a randomized clinical trial. Am J Vet Res. 2022;84(1):ajvr.22.07.0112. Published 2022 Nov 11. doi:10.2460/ajvr.22.07.0112
各2023年6月11日取得