病院でコンセーブやエピレス、ゾニサミドっていうお薬を処方されたけれども、
- このお薬のの効果は?
- 飲ませるタイミングはいつ?
- 飲ませ忘れてしまったらどうする?
- 副作用は何があるの?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!
このページで解説するお薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。
解説するお薬の一覧
- コンセーブ
- エピレス
- ゾニサミド
- エクセグラン
この記事を読むことでより安心して、安全にコンセーブやエピレスを使うことができるようになります!
コンセーブ、ゾニサミドってなんのお薬? 概要説明
コンセーブやエピレスは主に犬さんのてんかん発作のコントロールのために使われるお薬です。
てんかん発作は脳の異常な興奮が原因で発生することが知られています。
コンセーブやエピレスの中には、ゾニサミドという有効成分が含まれており、このゾニサミドが脳の興奮を抑制することで発作のコントロールします。
基本的に犬さんで使われることが多いお薬ですが、猫さんに対してもてんかん発作の管理で使われることはしばしばあります。
ゾニサミドが含まれている商品
ゾニサミドが含まれている製品は次のものがあります。
見出しテキスト
- コンセーブ (動物用、住友ファーマアニマルヘルス)
- エピレス (動物用、共立製薬)
- エクゼクラン (人体用、住友ファーマ)
- トレリーフ (人体用、住友ファーマ)
- その他ゾニサミド製剤 (人体用)
基本的には動物用医薬品であるコンセーブやエピレスが処方されますが、容量を調節して人用のお薬や、そのジェネリック品が使われることもあります。
コンセーブ、エピレス、ゾニサミドの飲ませ方
指定された量を1日2回のませてください。
食前、食後はどちらでも大丈夫ですが、なるべく毎日同じ時間に飲ませるようにしましょう。
コンセーブ、エピレス、ゾニサミドを飲ませ忘れたとき
ゾニサミド製剤を飲ませ忘れてしまった場合、発作が起こる可能性が上がってしまいます。
飲ませ忘れに気づいたときは、まずはすぐに飲み忘れた分を飲ませてください。
もし、次回の投薬のタイミングが近いときには次回の投薬を数時間送らせて飲ませて飲ませるようにしましょう。
てんかん発作の薬の管理で大切なことは「毎日同じ量を飲み続ける」ということです。
次回の投薬が近くても、1回分飛ばすのではなく、少しタイミングをズラして1日2回しっかり飲ませましょう。
ただし!忘れてしまったときでもあわてて2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。
コンセーブ、エピレスの副作用、飲むときに気をつけるべきこと
ゾニサミド製剤を服用するときに注意すべき点がいくつかあるので、一緒に見ていきましょう。
コンセーブ、エピレスの副作用
コンセーブやエピレスの副作用は次のものがあります。
コンセーブの副作用
- おう吐、下痢、食欲不振
- 活動性の低下
- 皮膚のかゆみ、赤み、湿疹
- 貧血、赤血球、白血球等の減少
症状:ふらつき、発熱、皮下出血等 - 代謝性アシドーシス
症状:呼吸促迫、元気消失等 - 肝障害
症状:肝数値の上昇、元気食欲の低下、黄疸
ゾニサミド製剤は、てんかんのお薬の中でも副作用が少ないと言われていますが、それでも一定の割合で食欲の低下やおう吐、下痢などの症状が現れることが報告されています。
ただし、食欲低下やおう吐、下痢などの症状は基本的には軽度で、自然と治まるものがほとんどです。
一方で、確率は少ないですが、かゆみや、貧血、肝機能障害などの副作用は重い症状が出る可能性があります。
これらの症状が出た場合は早期に薬の中断を検討する必要があるため、これらの副作用が出ないか自宅でしっかりと観察を行い、定期的に病院で検査を受けるようにしましょう。
また、他のてんかんのお薬とゾニサミドを併用したときにより副作用が現れやすくなるとも言われています。
てんかんのお薬を併用している場合はより副作用に気をつけて様子を観察するようにしましょう。
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる犬さん猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
注意が必要な場合
- 繁殖、妊娠、授乳中のとき
- 生後6ヶ月未満のとき
- 腎機能障害があるとき
- 肝機能障害があるとき
- 繁殖、妊娠、授乳中のとき
- 生後6ヶ月未満のとき
この場合は子どもの発育に影響が出る場合があるため、基本的に使用はしてはいけません。
どうしても使用する必要がある時はそのメリットとデメリットをしっかり獣医師と相談しましょう。
- 腎機能障害があるとき
- 肝機能障害があるとき
この場合は副作用が強くでる、薬が効きすぎる可能性があるため、慎重に投与する必要があります。
飲み合わせ
次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう。
併用注意の薬
- 薬の代謝 (CYP3A) に影響を与える薬
フェノバルビタール、エリスロマイシン、 クラリスロマイシン、 ジルチアゼム、 イトラコナゾール、 ケトコナゾール、 ミコナゾール、 メチルプレドニゾロン、 シメチジン、オメプラゾール、 デキサメタゾン等
ゾニサミドの効果が出すぎたり、効果が弱くなったりする可能性があります。併用するときは薬の効果測定のための定期検診をしっかりと受診するようにしましょう。
コンセーブ、エピレスの効果、医薬品としての承認
コンセーブとエピレスは動物用医薬品として次の効果が承認されています。
犬さんの効果
犬さんでの承認
- 特発性てんかんにおける発作のコントロール
てんかん発作以外にも、加齢に伴うふるえなどの症状にも使われることもあります。(参考文献3)
猫さんの効果
ゾニサミド製剤は猫さんの動物用医薬品としての承認は取られていませんが、猫さんの発作の管理にも使われます。
ただし犬さんに比べて低用量で食欲不振などの副作用が現れやすい報告があるため、使用する際は気をつけて使うようにしましょう。(参考文献3)
コンセーブの作用機序
神経系のナトリウムとカルシウムの流れを調節することで、神経の興奮を抑制する効果を発揮します。
それ以外にも他の神経活動を担うタンパク質の抑制作用や神経細胞の保護作用なども有しており、これらの効果が複合的に作用しててんかん発作のコントロールを行います。
まとめ
以上、ゾニサミド製剤に対する説明でした。
コンセーブやエピレスはてんかん発作のコントロールのお薬の中で、動物用医薬品として犬さんに対して承認の取られている数少ないお薬です。
そのため安全性はしっかり確認されていますが、お薬の効果の確認や副作用のチェックのために定期的な受診は必須のお薬です。
また、急にやめたり減量したりしてしまうと発作が起きやすくなってしまう事があり、毎日同じ量をしっかり飲み続けることが大切担ってきます。
- ゾニサミドはてんかん発作のお薬
- 1日2回決まった量を必ず飲ませることが大切
- 副作用は少ないが、消化器症状、腎臓、肝臓に注意
- 長期投与するときには定期的な検診が必要
まとめ
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
- 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献
- コンセーブ添付文書、住友ファーマアニマルヘルス株式会社
- 抗てんかん発作薬 ~適切なてんかん発作の管理と抗てんかん発作薬療法のために~、SA Medicine、EDUWARDPress、2022年6月号
- 犬と猫のてんかん読本、http://animal-purpleday.org/ より、2023年3月11日ダウンロード
各2023年3月11日取得