
病院でピモベハートやベトメディンっていうお薬を処方されたけれども、
- お薬の効果は何?
- 副作用は何があるの?
- 飲ませるタイミングはいつ?
- 飲ませ忘れてしまったらどうする!?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!

この記事を読むことでより安全に、安心してピモベハートやベトメディンを使うことができるようになりますよ!
このページで解説するピモベンダンは次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。
ここだけ見れば大丈夫、ピモベンダンまとめ
成分名 | ピモベンダン |
商品名 | ピモベハート、ベトメディン、dsピモハート 等 |
特徴、はたらき | 心臓病で弱ってしまった心機能を改善させます |
使う動物 | 犬、猫 |
副作用 | 頻脈、おう吐、下痢、食欲不振等 |
注意事項 | 心臓病自体を治すお薬ではないので基本的にはずっと飲み続けることになります。 途中でやめてしまうと心機能が悪化するおそれがあります。 |

ここからはピモベンダンについて更に詳しく解説していきます!
ピモベンダンの効果、特徴

心臓病の犬さんや猫さんの心機能の改善に使われるお薬です。

心臓は体の中で血液を全身に送る役割をしています。
しかし、犬さんや猫さんが心臓病になるとそのポンプ機能が低下して全身の血の巡りが悪くなってしまいます。
その結果、肺や全身に水が溜まってしまい、胸水、腹水の貯留や肺水腫などの病態を引き起こします。
ピモベンダンは弱ってしまった心臓のポンプ機能を強めることで血の巡りを良くし、これらの症状を改善する効果があります。
心臓病の薬についてはこちらもお読みください
ピモベンダンを飲ませるタイミング

処方された量を朝晩2回、食事の1時間前に飲ませてください。
できるだけ毎日同じ時間に飲ませるようにしましょう。
症状によっては1日3回の投与が行われる場合もあります(参考文献4) 。
ピモベンダンを飲ませ忘れたとき


ピモベンダンを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませてください。
食事を食べてしまった後でもそのまま与えて大丈夫です。
ただし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。
忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!

副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。
ピモベンダンの副作用、気をつけるべきこと
ピモベンダンは動物用医薬品として安全性が確認されていて、副作用も比較的少ないお薬です。
ただしいくつか副作用や気をつけるべきことがあるので、これらに気をつけて内服させるようにしましょう。
副作用

ピモベンダンの副作用の発生は基本的にそこまで多くありませんが、次のものが報告されています。
ピモベンダンの副作用
- 頻脈
- おう吐、食欲不振、下痢
- 活動性の低下
- 肺高血圧症の悪化 (ふらつき、失神など:参考文献6)
- 頻脈
- 嘔吐
これらは用量が多いときに発生しやすい副作用です。薬の使用目的と相談しつつ減量すれば改善することができます。

勝手に減量してしまうと、薬の効果が無くなる可能性があります。
減量するときは必ず獣医師と相談した上で行いましょう。
飲ませるときに注意が必要な場合

以下に当てはまる犬さん猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
注意が必要な場合
- 体重が2kg未満のとき
- 妊娠中、授乳中のとき
- 肥大型心筋症や拍出量の増加が見込めない症例のとき
- 魚アレルギーのとき
- 重度の肝障害を有するとき
- 体重が2kg未満のとき
- 妊娠中、授乳中のとき
安全性が確認されていません。授乳中の子に投与するときは授乳を中止して人口哺乳するようにしましょう。
- 肥大型心筋症や心拍出量の増加が見込めない症例のとき
一部の心疾患では薬の作用により逆に症状が悪化する可能性があります(参考文献5)。
ただし、肥大型心筋症の猫さんに対してはしばし使われており、必ず使っていけないというわけではありません(参考文献7)。
- 魚アレルギーのとき
一部の製剤では原材料に魚由来の成分が含まれているため、アレルギーを有する場合は注意して投与してください。
- 重度な肝障害を有するとき
ピモベンダンは肝臓で代謝されるため、副作用が起こりやすくなる可能性があります。
飲み合わせ

次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。
併用注意のお薬
- カルシウムイオン拮抗薬
ベラパミル、ジルチアゼム (不整脈のお薬)等
- ベータ拮抗薬
プロプラノロール (血圧や不整脈のお薬)
これらはピモベンダンと反対の作用を有しており、効果が減弱する可能性があります。

心臓が悪い猫さんの心拍数の管理に使われたりします。
犬さんに対する薬の効果
ピモベンダンは犬さんの動物用医薬品として次の効果に承認が取られています。
ピモベンダンの効果
僧帽弁閉鎖不全による慢性心不全に伴う症状の改善
僧帽弁閉鎖不全はいわゆる弁膜症で中高齢の小型犬で多く見られる心疾患です。
これ以外にも拡張型心筋症などの心臓の収縮不全をおこす病気に使用されます。
猫さんに対する薬の効果
ピモベンダンは猫さんに対しては承認は取られていません。
適応外使用ではありますが、肥大型心筋症や、拘束型心筋症、またそれらに由来するうっ血性心不全症状にしばし使われます。
上述してありますが、肥大型心筋症は病態によっては使用により症状が悪化する可能性があります。使用する際には獣医師からのお話をしっかりと聞きましょう。
ピモベンダンの作用機序
ここからはピモベンダンに対してもうすこし詳しく説明していきます。
作用機序
弱ってしまった心臓の収縮力を強め、さらに血管を拡張させます。
これらの作用により血液のめぐりを改善させて、心不全の症状を改善します。
ピモベンダンはカルシウム感受性増強役に分類され、心筋のトロポニンCにおけるカルシウムイオン感受性増強作用と、PDEⅢ活性抑制作用があります。
まとめ

以上、ピモベンダンに対する説明でした。
ピモベンダンは小型の犬さんでよくみられる心臓病 (僧帽弁閉鎖不全) に対して中心的な役割を持っている薬で処方されることの多い薬です。
副作用はそこまで多くないですが、心疾患によっては使用が推奨されず、症状を悪化させる可能性があるため、「心臓が悪いから飲めばいい」ではなく、どんな病気なのかを詳しく知った上で処方が必要な薬でもあります。

通販ではなく、獣医師の処方に従ってお薬を使いましょう。
まとめ
- 心臓病のお薬で、特に僧帽弁閉鎖不全の犬さんによく使われる
- 重篤な副作用は少ない
- 使用が推奨されない心臓病もある
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
- 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献
- ピモベハート®錠添付文書、リケンベッツファーマ株式会社
- dsピモハート®錠添付文書、住友ファーマアニマルヘルス株式会社
- ベトメディン®チュアブル添付文書、ベーリンガーインゲルハイム社)
- Keene BW., et al. : ACVIM consensus guidelines for the diagnosis and treatment of myxomatous mitral valve disease in dogs.J Vet Intern Med. 2019 May.
- J Am Vet Med Assoc. 2012 Jul.
- ピモベンダン、SA Medicine、137号、15-28頁
- 猫に対するピモベンダンの使用、伴侶動物治療指針Vol9、140-150頁
各2023年1月2日取得