犬と猫のお薬解説 痛み、炎症のお薬

犬猫お薬解説-メタカム(インフラカム、メロキシリン)の効果や副作用、使い方を現役獣医師がわかりやすく解説!

2023年2月3日 なんたべ

病院でメタカムやインフラカム、メロキシリンっていうお薬を処方されたけれども、

  • メタカムの効果は?
  • 副作用は何があるの?
  • 飲ませるタイミングはいつ?
  • 飲ませ忘れてしまったらどうする!?
獣医なんたべ

そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!

このページで解説するお薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。

解説するお薬の一覧

  • メタカム
  • メロキシリン
  • インフラカム
  • メロキシカム
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メタカムやインフラカムってなんのお薬? 概要説明

メタカムやインフラカムは犬さんや猫さんの痛み止めや、炎症止めに使われるお薬です。

特に骨や関節等の痛みや、手術の後の痛みの管理によく使われます。

メタカムの中にはメロキシカムという有効成分が含まれており、この成分が痛みや炎症を引き起こす物質の働きを抑えます。

メロキシカムが含まれている商品

メロキシカムが含まれている製品は次のものがあります。

これらはすべて同じお薬と思っていただいて大丈夫です。

見出しテキスト

  • メタカム (シロップタイプ、チュアブルタイプ:ベーリンガーインゲルハイム社)
  • メロキシリン (チュアブルタイプ:フジタ製薬株式会社)
  • インフラカム (錠剤:ビルバックジャパン社)
  • その他メロキシカム製剤
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メタカム、やインフラカムの飲ませ方

指定された量を1日1回のませてください。食前、食後はどちらでも大丈夫です。

液体タイプのお薬(メタカム経口懸濁液)は、ご飯と混ぜて飲ませても大丈夫です!

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メタカムやインフラカムを飲ませ忘れたとき

メタカムを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。

しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。

忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出てしまう可能性があるので、いつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。

メタカム、インフラカムの副作用、飲むときに気をつけるべきこと

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メタカムの副作用

メタカムは他の痛み止めのお薬と比較して副作用は少なめです。ただし次のものが報告されています。

メタカムの副作用

  • おう吐、下痢、血便、食欲不振
  • 胃腸の障害
    → 元気や食欲の低下、おう吐や吐血の症状が見られることがあります。
  • 腎臓の障害 
    → 血液検査での腎数値の上昇や、元気や食欲の低下が見られます。
  • 肝数値の上昇
    →血液検査で肝数値が上昇 が見られることがあります。
  • 心臓の疾患や高血圧の悪化
    → 呼吸状態の悪化等が見られることがあります。

おう吐や下痢、食欲不振などの消化器症状として現れることが多いです。これらの症状が現れたら獣医師に相談してください。

薬の添付文書では、猫さんへの使用は基本的に5日間までと定められています

ただし文献によっては、使用する量を減らして長期的に使用する方法などが報告されており (参考文献5)、長期的に使うこともあるお薬です。

しかし副作用が現れる可能性はあるため、長期使用をする際は血液検査などの定期的な健康診断を行うようにしましょう。

猫さんでの長期的な利用はあくまで例外的な使い方です

犬さんでは長期的な使用の安全性は確認されています。

それでも使っていると副作用が現れるリスクがあるので、定期的な健康診断は受けたほうがいいです。

飲ませるときに注意が必要な場合

以下に当てはまる猫さん猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。

注意が必要な場合

  • 妊娠、授乳中のとき
  • 生後2ヶ月未満(犬)または生後3ヶ月未満(猫)のとき
  • 高齢で衰弱しているとき
  • 消化器症状 (特に胃潰瘍など) があるとき
  • 腎機能障害があるとき
  • 脱水をしている時 
  • 肝機能障害があるとき
  • 心疾患や、貧血、出血傾向、低血圧等の症状があるとき
  • 妊娠、授乳中のとき

これらに該当するときは安全性が確認されていません

  • 生後2ヶ月未満(犬)または生後3ヶ月未満(猫)のとき
  • 高齢で衰弱しているとき

副作用が強く出る可能性があるため、使用するときには十分注意が必要です。

  • 消化器症状 (特に胃潰瘍など) があるとき
  • 腎機能障害があるとき
  • 脱水をしている時 
  • 肝機能障害があるとき
  • 心疾患や、貧血、出血傾向、低血圧等の症状があるとき

もともとあるこれらの症状を悪化させてしまう可能性があります。

飲み合わせ

次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう。

併用注意の薬

  • ステロイドやその他の抗炎症薬

プレドニン、プレビコックス、オンシオール、リマダイル、ガリプラント

  • アミノグリコシド系抗生物質

ゲンタマイシン、カナマイシン等

副作用が発生するリスクが高まるため、原則併用してはいけません。

これらのお薬を使っていたときは少なくとも1日は間を開けるようにしましょう。

炎症とめのお薬は1種類のみ使用が原則!

併用注意の薬

  • ACE阻害薬

フォルテコールベナゼハートワンハートアピナックエースワーカー

  • 利尿薬

フロセミド、ヒドロクロロチアジド等

  • 抗凝固薬

ワルファリン等

体の中での薬の効き方に影響を及ぼす可能性があります。

併用するときは、副作用が出ないか、薬の効きが弱くならないか等に注意が必要です

メタカムやインフラカムの効果、医薬品としての承認

犬さんの効果

メタカムは犬さんの動物用医薬品として次の効果に承認が取られています。

犬さんでの承認

  • 運動器疾患に伴う炎症及び疼痛の緩和
  • 外科手術によって生じる急性疼痛の緩和

これら以外にも、がんの痛みや怪我の痛み、発熱など、様々な疼痛や炎症の緩和に使われるお薬です(参考文献2,3,4)。

猫さんの効果

メタカムは猫さんの動物用医薬品として次の効果に承認が取られています。

猫さんでの承認

  • 運動器疾患に伴う急性の疼痛及び炎症の緩和

猫さんでも、関節疾患以外に、癌の痛みの緩和、手術後や外傷からくる痛みの緩和など、様々な疼痛や炎症の緩和に使われます(参考文献2,3,4)。

メタカムやインフラカムの作用機序

痛みや炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで、鎮痛、抗炎症効果を発揮します。

プロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という合成酵素から作られ、全身の痛みや炎症を強くする効果を持っています。

メロキシカムはこのCOXの働きを抑えることで、プロスタグランジンの産生を抑制し、痛みや炎症を抑制します。

まとめ

以上、メタカムに対する説明でした。

メタカムは痛み止めに使われるお薬のうちのNSAIDsに分類されるお薬です。

獣医療の痛みの管理において、NSAIDsは中心的な使われ方をしているお薬です。その中でもメタカムは副作用が比較的少なくなるように作られており、幅広い場面で処方されているお薬です。

    まとめ

    • メタカムは痛み止めのお薬
    • 1日1回飲ませる
    • 副作用は少ないが、消化器症状、腎臓、肝臓に注意
    • 長期投与するときには定期的な検診が必要

皆様の参考になれば幸いです。

注意事項

  • この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
  • 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
  • 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
  • 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしてもそれが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。

参考文献

  1. メタカム添付文書、エランコジャパン株式会社
  2. 図版で理解する 犬と猫の麻酔・疼痛管理ハンドブック、EDUWARD Press、2018年
  3. Gruen ME, Lascelles BDX, Colleran E, et al. 2022 AAHA Pain Management Guidelines for Dogs and Cats. J Am Anim Hosp Assoc. 2022;58(2):55-76. doi:10.5326/JAAHA-MS-7292
  4. Mathews K, Kronen PW, Lascelles D, et al. Guidelines for recognition, assessment and treatment of pain: WSAVA Global Pain Council members and co-authors of this document:. J Small Anim Pract. 2014;55(6):E10-E68. doi:10.1111/jsap.12200
  5. Sparkes AH, Heiene R, Lascelles BD, et al. ISFM and AAFP consensus guidelines: long-term use of NSAIDs in cats. J Feline Med Surg. 2010;12(7):521-538. doi:10.1016/j.jfms.2010.05.004

各2023年1月25日取得

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