病院でディアバスターっていうお薬を処方されたけれども、
- このお薬の効果は?
- 飲ませるタイミングはいつ?
- 飲ませ忘れてしまったらどうする?
- 副作用は何があるの?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!
ここだけ見れば大丈夫!ディアバスターまとめ
商品名 | ディアバスター |
成分名 | タンニン酸ベルベリン、次硝酸ビスマス、ゲンノショウコ乾燥エキス、五倍子末、ロートエキス散 |
特徴、はたらき | 下痢止めとして使用されます |
使う動物 | 犬、猫 |
副作用 | 便秘など |
注意事項 | 味付けに魚由来の成分が含まれています。 アレルギーがある場合は注意しましょう。 |
ここから先はディアバスターについて更に詳しく説明します。
ディアバスターについてしっかりと学んでいきましょう。
ディアバスターの効果と特徴
ディアバスターは犬さんと猫さんの下痢や腹痛の改善に使われるお薬です。
腸の保護や過剰な運動を抑制するための5種類の有効成分が
下痢やそれに伴う痛みを抑える効果を持ちます。
含まれている成分の詳細は後ほど詳しく説明します。
【関連】下痢のときの食事療法のすすめ!
飲ませるタイミングは1日2回
1日2回、定められた量を飲ませてください。食前、食後はどちらでも大丈夫です。
錠剤を砕いて粉にしても大丈夫なので、粉にして少量のおやつに混ぜてしまうのも有効!
とはいえ猫さんが嫌がって全然お薬を飲んでくれない!
そんなときはこちらも参考にしてください↓
ディアバスターを飲ませ忘れたときは
ディアバスターを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。
しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。
忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!
副作用が強くでる可能性があります。
忘れてしまったときでも、いつもと同じ量飲ませるようにしましょう。
ディアバスターの副作用
ディアバスターは動物用医薬品として安全性が高いお薬です。
それでもいくつかは気をつけるべきことがあるため、しっかり確認しておきましょう!
ディアバスターの副作用はほとんどありません。
しいて言えば下痢が止まりすぎて便秘がちになってしまう可能性があります。
また、飲んだあとに便が黒くなることがありますが、これは成分の一つである次硝酸ビスマスが便を黒色化させているだけで、特に問題はありません。
ただし、便があまりにも真っ黒な場合は消化管で出血が起きている可能性があります。
そのときは獣医師に相談しましょう!
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる犬さん猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
注意が必要な場合
- 魚アレルギーがある場合
- 寄生虫などの感染が疑われる場合
魚アレルギーがある場合
ディアバスターには魚由来の成分が含まれており、アレルギーの症状が出る可能性があります。
寄生虫などの感染が疑われる場合
下痢の原因によっては状態を悪化させてしまう可能性があります。
特別な感染が疑われる場合はそちらの治療が優先されます。
飲み合わせ
次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう。
併用注意のおくすり
- ブチルスコポラミン臭化物
ブチルスコポラミン臭化物
どちらも消化管の運動を抑制する効果があるため、効果が強く出すぎてしまう可能性があります。
ブチルスコポラミン臭化物も腹痛のときに処方されることがあります。
ディアバスターの医薬品としての承認
ディアバスターは動物用医薬品として次の効果に承認が取られています。
見出しテキスト
- 下痢
- 腹痛
これら以外での目的での投薬は適用外使用になります。
効果やリスクについてしっかりと説明を受けてから使用するようにしましょう。
ディアバスターの働き、作用機序
作用機序
ディアバスターには
- タンニン酸ベルベリン
- 次硝酸ビスマス
- ゲンノショウコ乾燥エキス
- 五倍子末
- ロートエキス散
の5つの有効成分が含まれています。
これらの成分が複合して、
- 腸の粘膜の保護
- ガスの吸着
- 異常な腸内細菌の殺菌
- 消化管の運動の抑制
といった効果を発揮します。
具体的には
タンニン酸ベルベリン、ゲンノショウコ、五倍子は収れん剤として、腸の表面に被膜を作り、消化管を保護します。
ベルベリンは殺菌効果を持ち、有害細菌を殺菌する効果があります。
また、ロートエキスは消化管副交感神経のアセチルコリンを阻害することで、消化管の収縮を抑制します。
また、軽度の局所麻酔効果も持っており、消化管の痛みやうずきを緩和します。
まとめ
以上、ディアバスターに対する説明でした。
ディアバスターは副作用もほとんどなく、下痢に対する最初の治療としてもよく使われるお薬の1種だと思います。
ただし、下痢の種類によっては病気の原因の治療が優先されるものがあるので、他の子で処方されたものの自宅での安易な処方は避けたほうが無難です。
とくに、おうちに来たばかりの子犬さんや子猫さんは寄生虫が原因になっていることがあり、その場合は原因に対する治療が大切になってきます。
ブリーダーやペットショップからお迎えした場合でも寄生虫に感染していることはあります。
野良猫さんじゃなくても要注意!
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用することをお勧めいたします。
- 獣医療で使用される多くの薬は用法、用量が画一的に定まっておらず、使用法について獣医師一人一人考え方は違います。当サイトに記載している用法、用量は一例であり、かかりつけの獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが必ずしも間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献
- ディアバスター®錠添付文書、リケンベッツファーマ株式会社http://www.vmdp.jp/products/diabuster/attach_dia.pdf
- 共立製薬株式会社ホームページ:https://www.kyoritsuseiyaku.co.jp/products/detail/product_20007.html
- 一次診療における下痢治療の現状、MVM、ファームプレス、129号
- Mark G. Papich, Papich Handbook of Veterinary Drugs 5th Edition.Elsevier.2020 https://www.elsevier.com/books/papich-handbook-of-veterinary-drugs/papich/978-0-323-70957-6
各2022年12月26日取得