病院でアトピカやシクラバンスっていうお薬を処方されたけれども、
- このお薬の効果は?
- 飲ませるタイミングはいつ?
- 飲ませ忘れてしまったらどうする?
- 副作用は何があるの?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!
お薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。
解説するお薬の一覧
- アトピカ
- シクラバンス
- シクロスポリン
この記事を読むことで、
より安心して、安全にお薬を使うことができるようになりますよ!
ここだけ見れば大丈夫!アトピカ、シクラバンスまとめ
成分名 | シクロスポリン |
商品名 | アトピカ、シクラバンス |
特徴、はたらき | 体の過剰な免疫を抑えます。 アレルギーやその他免疫が関連する病気の治療に用いられます。 |
使う動物 | 犬、猫 |
副作用 | おう吐、下痢、脱毛、感染症の悪化等 |
注意事項 | 副作用や薬の飲み合わせなど、使う上で気をつけなければならないことがあります。 獣医師の説明をしっかりと受けてから使うようにしましょう。 |
ここからはそれぞれの項目について更に詳しく説明していきます!
アトピカ、シクラバンスの効果と特徴
アトピカやシクラバンスには、体の免疫を抑える成分であるシクロスポリンが含まれています。
免疫は私たちの体を細菌やウイルスから守るための大切なシステムですが、時に免疫が過剰に活性化してしまうと、アレルギーやアトピーのような病気の原因になります。
シクロスポリンは、この過剰な免疫を抑える働きがあり、アレルギーやアトピーの症状を軽くする効果があります。
他にも免疫が血液を壊す病気などの様々な過剰な免疫により発生する病気の治療にも用いられます。
効果がでるまでには、約1ヶ月ほどかかることがあります。
効果がでるまでには、約1ヶ月ほどかかることがあります。
症状が改善されるまで、継続して使うことが大切ですよ。
アトピカ、シクラバンスの飲ませ方、タイミング
1日1回~2回、獣医師に指定された量をのませます。
食事と食事の間の空腹時にのませてください。
食事のあとから2時間は空けて、薬を与えた後は2時間は食事を与えないようにしましょう。
また、お薬を使う上で、定期的な検診が必要になります。
症状によっては、使っていく途中で徐々に服用頻度を減らしていくこともあります。
自己判断での減量は絶対にNG!!
量の調節は獣医師と相談しましょう。
とはいえ猫さんが嫌がって全然お薬を飲んでくれない!
そんなときはこちらも参考にしてください↓
アトピカを飲ませ忘れたとき
アトピカを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいた場合は、その時にそのまま飲ませて大丈夫です。
ただし、次回の投薬が近い場合は、1回飛ばして次回のタイミングで飲ませてください。
忘れてしまったときでも、いつもと同じ量を飲ませてください。
焦って2倍の量を飲ませることはNG!!
副作用が強く出る可能性があります。
大切なことは、獣医師の指示に従い、正確に服用することです。
忘れてしまった場合でも焦らず対応しましょう。
アトピカ、シクラバンスの副作用、飲むときに気をつけるべきこと
アトピカやシクラバンスは副作用や飲み合わせなど、飲む上で気をつけるべきことがいくつかあります。
これらの症状が出てこないか注意して使用しましょう。
アトピカの副作用
アトピカやシクラバンスの副作用として、以下の症状が起こる可能性があります。
これらの症状が現れた場合は、薬の中断や減量が必要になる場合があります。速やかに獣医師に相談するようにしましょう。
シクロスポリンの副作用
- 食欲不振、吐き気、下痢
- 歯肉の腫れ
- 全身の感染症や腫瘍の悪化
- 皮膚や毛の状態の変化、かゆみ
- 肝臓の数値の上昇
…元気消失、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる、 - 糖尿病
…飲水量の増加、体重減少 - 腎機能の障害
…元気消失、食欲不振
初めて投与するときは特に注意が必要です!
副作用が現れた場合は獣医師に早急に相談し、指示に従って対処することが大切です。
軽い副作用ならば病気の治療を優先することもあります。
安全な薬の使用のためにも、定期的な獣医師とのコミュニケーションをしっかりと行いましょう。
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる犬さんや猫さんへの投薬は注意が必要です。
投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
投薬禁止又は注意が必要なとき
- 年齢が6ヶ月未満の場合
- 体重が小さい場合
犬さんで2kg未満、猫さんで1.5kg未満のとき - 妊娠中や授乳中の場合
- ノミ感染や感染症(FIVなど)がある場合
- 腫瘍が疑われる場合
- 季節性のアトピー性皮膚炎の場合
- 糖尿病の場合
- 肝臓や腎臓の機能が低下している場合
これらの状況に当てはまる場合、薬の使用が制限されたり、使用する際のリスクが上がります。
必ず獣医師と相談し、適切な判断と処方を受けましょう。
飲み合わせ
シクロスポリンは他の薬と一緒に飲む際に注意が必要です。飲んでいる薬のリストをもう一度確認しましょう。
薬の効果が強くなり、副作用が発生しやすくなることや、逆に効果が弱くなることがあります。
ワクチン接種
シクロスポリンを使っているときのワクチン接種は、
- ワクチンの効果が適切に得られない
- ワクチンのせいで感染してしまう
などのリスクがあり、使用する上では慎重な検討が必要です。
ワクチン接種をする際にはシクロスポリンを使っていることを獣医師にしっかりと伝えましょう。
シクロスポリンの効果が増強されるお薬
これらのお薬との併用によりシクロスポリンの効果が強く出過ぎる可能性があります。
シクロスポリンの効果が減弱されるお薬
これらのお薬との併用によりシクロスポリンの効果が弱まってしまう可能性があります。
- 抗てんかん薬(フェノバルビタール)
- H₂ブロッカー(ファモチジン)
- 抗真菌薬(テルビナフィン)
その他
これらの薬剤とのは腎毒性が増強される可能性があります。
- ある種の抗菌薬(ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、エンロフロキサシン、オルビフロキサシン等)
- NSAIDs(メロキシカム、ロベナコキシブ、フィロコキシブ等)
犬さんや猫さんの状態によっては併用して使うときもあります!
気になったら獣医師に相談しましょう!
まとめ
以上、シクロスポリンに対する説明でした。
シクロスポリンは体の過剰な免疫を抑える効果があり、様々な病気の治療に使われます。
しかし、免疫が低下してしまうことによる副作用や、他のお薬との相互作用があるため、
使用するときは定期的な健康診断が必要になります。
まとめ
- シクロスポリンは過剰な免疫を抑えるために使われるお薬
- 副作用は消化器症状や、皮膚の変化、痒みなどがあります
- 他のお薬との併用に注意が必要
- 迷うことがあったときには、獣医師に相談!
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
- 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献
- 動物用医薬品等データベース、https://www.vm.nval.go.jp/
- Mark G. Papich, Papich Handbook of Veterinary Drugs 5th Edition.Elsevier.2020 https://www.elsevier.com/books/papich-handbook-of-veterinary-drugs/papich/978-0-323-70957-6
- 犬と猫の治療薬ガイド2023. EDUWARD Press. 2022.https://eduward.online/products/detail/2125
- アトピカ添付文書、エランコジャパン株式会社、https://www.elancopet.jp/vetindex/product/atopica
- シクラバンス貼付文書、株式会社ビルバックジャパン、https://jp.virbac.com/products/dermalcare/cyclavance
各2023年6月3日日取得