病院でビクタスっていうお薬を処方されたけれども、
- このお薬の効果は?
- 飲ませるタイミングはいつ?
- 飲ませ忘れてしまったらどうする?
- 副作用は何があるの?
そんな疑問に現役の救急獣医師がわかりやすくお答えします!
お薬は次の名前で呼ばれることもありますが、どれも同じお薬を表しています。
解説するお薬の一覧
- ビクタス
- オルビフロキサシン
この記事を読むことで、
より安心して、安全にお薬を使うことができるようになりますよ!
ここだけ見れば大丈夫!ビクタスまとめ
成分名 | オルビフロキサシン |
商品名 | ビクタス |
特徴、はたらき | 細菌を殺菌するお薬です。 感染症の治療に使われます。 |
使う動物 | 犬、猫 |
副作用 | おう吐、食欲不振等 |
注意事項 | 必ず獣医師に指示された期間飲むようにしましょう。 自己判断での中断はNG! |
ここから先はビクタスについて更に詳しく説明していきます。
ビクタスについてしっかりと学んでいきましょう!
ビクタスの効果と特徴
ビクタスは抗菌薬であり、細菌を殺菌するためのお薬です。
オルビフロキサシンという有効成分が、幅広い種類の菌に対して抗菌作用を発揮します。
獣医療では細菌が原因の様々な病気の治療に使われます。
特に細菌性の下痢や尿路の感染症、皮膚の感染症、外耳炎などによく使われます。
ビクタスの飲ませ方、タイミング
1日1回、獣医師に指定された量をのませてください。
食前、食後はどちらでもいいですし、食事と一緒に飲ませてもOKです!
一度処方されたら途中でやめずに獣医師に指示された期間しっかりと飲み続けましょう。
自分だけの判断で途中で止めてしまうと、再発したり治りにくくなるおそれがあります。
とはいえ猫さんが嫌がって全然お薬を飲んでくれない!
そんなときはこちらも参考にしてください↓
ビクタスを飲ませ忘れたとき
ビクタスを飲ませ忘れてしまった場合、数時間後に気づいたならばその時にそのまま飲ませて大丈夫です。
しかし、次回の投薬が近いときには1回飛ばして次回のタイミングに飲ませてください。
忘れてしまったときでも2倍の量を飲ませるのはNG!副作用が強く出る可能性があります。
忘れてしまったときでもいつもと同じ量を飲ませるようにしましょう。
ビクタスの副作用、飲むときに気をつけるべきこと
ビクタス製剤は副作用や飲み合わせなど、飲む上で気をつけるべきことがいくつかあります。
これらの症状が出てこないか注意して使用しましょう。
ビクタスの副作用
ビクタスの副作用として、次のものが起こる可能性があります。
これらの症状が現れた場合は薬の中断や減量が必要になるので、速やかに獣医師に相談するようにしましょう。
初めて投与するときは特に注意が必要です!
ビクタスの副作用
- おう吐、下痢
- アナフィラキシーショック
- 神経症状
- 関節障害
おう吐、下痢
一番多い副作用はおう吐と下痢です。
お薬を中断すれば収まることがほとんどなので、獣医師に相談しましょう。
他の抗生物質に変更できることもあります。
自己判断での中断はNG!
必ず獣医師と相談の上中断しましょう。
アナフィラキシーショック
重いアレルギー症状であるアナフィラキシーショックと思われる報告がいくつかあります。(参考文献2)
投薬後すぐにぐったりして元気がなくなるなどの症状が現れます。
その時はすぐに動物病院に連れていきましょう。
この場合はなるべく早い対処が必要です。
時間によっては夜間救急病院も探しましょう。
神経症状、関節障害
神経症状や関節障害も起こる可能性が考えられています。 (参考文献3)
特にてんかん発作を持っていたり、3ヶ月未満の場合は注意が必要です。
飲ませるときに注意が必要な場合
以下に当てはまる犬さんや猫さんへの投薬は注意が必要です。投薬する前に獣医師としっかり相談をしましょう。
注意が必要な場合
- 妊娠中、授乳中のとき
- 3ヶ月未満のとき
- 腎臓が悪いとき
- てんかん発作があるとき
妊娠中、授乳中のとき
妊娠、授乳中の犬さんや猫さんへの安全性は確認されていません。
原則投与しないようにしましょう。
3ヶ月未満のとき
関節障害のリスクが上がる可能性があります。
注意して使用するようにしましょう。
特に大型犬では要注意!
腎臓が悪いとき、てんかん発作があるとき
神経症状や発作が起こる可能性があります。(参考文献3,4)
使用するときは注意が必要です。
これらに該当する場合は獣医師に相談しましょう。
飲み合わせ
次のお薬と一緒に飲むときは注意が必要です。これらのお薬を飲んでいることを獣医師に伝えて忘れていないかもう一度確認しましょう。
NSAIDs
これらのおくすりと同時に飲むとてんかん発作の副作用のリスクが上がります。
使用する上では注意が必要です。
アルミニウムを含む薬
お薬の吸収が低下し、効果が弱くなる報告があります。
併用を避けるもしくは時間を開けて内服するようにしましょう。
テオフィリン
これらのお薬と一緒に飲むと効果が強く出すぎてしまう可能性があります。
犬さんや猫さんの状態によっては併用して使うときもあります!
気になったら獣医師に相談しましょう!
猫さんへの安全性
オルビフロキサシンはニューキノロン系と呼ばれる抗菌薬に分類されます。
いくつかのニューキノロン系抗菌薬は猫さんの視覚障害が副作用としてありますが、ビクタスはその副作用がないと考えられています。
猫さんにも安心して使うことができますよ!
まとめ
以上、ビクタスに対する説明でした。
ビクタスは抗菌薬として様々な種類の感染症に用いられます。
主な副作用は下痢やおう吐ですが、低い可能性でてんかん発作や関節炎がおこることがあります。
とはいえ自己判断での中断はNGです。
様子を見ながらしっかりと飲ませるようにしましょう。
まとめ
- ビクタスは感染症に使われる抗菌薬
- 副作用は下痢やおう吐、神経症状や関節炎がある
- 自己判断での中断はNG
皆様の参考になれば幸いです。
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
- 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。
参考文献
- オルビフロキサシン添付文書、共立製薬株式会社
- 動物用医薬品等データベース、https://www.vm.nval.go.jp/public/detail/14221
- Mark G. Papich, Papich Handbook of Veterinary Drugs 5th Edition.Elsevier.2020 https://www.elsevier.com/books/papich-handbook-of-veterinary-drugs/papich/978-0-323-70957-6
各2023年4月20日取得