動物病院で眼科の診療をしていると、「うちの子、最近目が見えていないみたいなんです…」と来院される飼い主様に多く出会います。
- 目が見えなくなっても幸せに暮らせるの?
- 人間と動物で「感覚」はどう違うの?
- お家でできる具体的な工夫は何があるの?
- やってはいけないNG行動は?
そんな不安や疑問に、現役の獣医眼科医がわかりやすくお答えします!

緑内障や白内障、あるいは網膜の病気など、愛犬・愛猫の視力が失われていく現実は、ご家族にとって本当に辛く、ショックな出来事ですよね。
しかし、現役の獣医師として、これだけは最初にお伝えさせてください。
動物たちの適応力
目が見えなくなっても、動物たちは私たちが想像する以上に、力強く幸せに生きていくことができます。

この記事を読むことで、
お家での過ごし方の不安がなくなり、より安心して愛犬・愛猫と暮らせるようになりますよ!
ここだけ見れば大丈夫!お家でできる3つの工夫まとめ
| 工夫①:家具の配置 | 絶対に配置を変えない。彼らは頭の中の「見取り図(空間記憶)」を頼りに歩いています。 |
| 工夫②:床の質感 | 段差やご飯の場所の前に、ザラザラしたマットなどを敷く。肉球からの「触覚」をランドマーク(目印)にします。 |
| 工夫③:事前の声掛け | 触る前や抱っこする前に必ず声をかける。「聴覚」と「嗅覚」で安心させてから触れましょう。 |

ここから先は、なぜこれらの工夫が必要なのか、メカニズムを更に詳しく説明していきます。
しっかりと学んでいきましょう!
人間と動物の「感覚」の決定的な違い
人間は、外部から得る情報の約80%を「視覚(目)」に頼っていると言われています。だからこそ、目が見えなくなる恐怖は計り知れません。
しかし、犬さんや猫さんは違います。彼らはもともと、視覚以上に「嗅覚(鼻)」と「聴覚(耳)」という非常に優れたセンサーを持っています。
視力が落ちてくると、彼らは残された鼻と耳のセンサーの感度を上げ、さらに自分の頭の中にある「お家の見取り図(空間記憶)」をフル活用して、障害物を避けながら歩けるようになります。

彼らの適応力は、私たちが驚くほど凄いんですよ!
絶対にやってはいけないNG行動
彼らの優れた適応力をサポートするために、飼い主様が「やってはいけないこと」があります。
これらをしてしまうと、彼らの頭の中の見取り図が狂い、怪我のリスクが高まります。
避けるべきNG行動
- 良かれと思って頻繁に家具の配置(模様替え)を変える
- 通り道に新しいクッションや荷物を放置する
- 無言で急に体を触ったり、抱き上げたりする
急に体を触られると、誰でもビクッとしてしまいますよね。撫でる前や抱っこする前は、必ず「〇〇ちゃん、撫でるよー」と優しく声をかけ、あなたの匂いを嗅がせてから触れてあげてください。
まとめ
目が見えなくなることは、決して「幸せの終わり」ではありません。
彼らは目ではなく、鼻であなたの匂いを感じ、耳であなたの優しい声を聴き、今日もあなたのそばで安心しています。
飼い主様が悲しい顔をしていると、その不安な空気は彼らにも伝わってしまいます。どうか今まで通り、たくさん話しかけて、たくさん撫でて、笑顔で接してあげてくださいね。

皆様の参考になれば幸いです。目に関する不安があれば、いつでもかかりつけの獣医師にご相談ください!
- この記事は動物病院で薬を処方された飼い主様に、その薬について知ってもらうための記事です。特定の商品の使用を推奨する意図はありません。
- 飼い主様の自己判断での通販などによる薬の入手および投薬、並びに投薬の中断は一切推奨いたしません。獣医師の処方、指示に従って利用するようにしましょう。
- 適応外使用については個々の症例に合わせて、獣医師の判断のもとで使用されています。予想される効果や副作用について獣医師としっかり相談してから利用するといいと思われます。
- 薬の使用方法について獣医師一人一人考え方は違います。獣医師がここに書いてない薬の使い方をしても、それが間違っているというわけではありません。疑問に思ったらかかりつけの先生に質問してみましょう。